CLASSIC AUTO TRANSMISSION ARCHIVE
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TH350 Slipping

TH350が滑る・前に進まない
原因の切り分けと対処・必要な部品

「踏んでも前に出ない」——その滑り、いきなり分解する前に。

「アクセルを踏むと回転だけ上がって、車が前に出ない」——TH350で最も多い相談のひとつが、この“滑り”です。部品の現場で30年、数えきれず見てきました。滑りは原因が複数あり、いきなりオーバーホールに走ると高くつきます。 この記事では、原因の切り分け方と、症状別にどこを疑うかを整理します。

「滑る」とはどんな状態か

まず慌てて分解せず、状態を観察するのが、結果的に一番安く直すコツです。

まず疑う原因(現場で多い順)

  1. フルード状態不良(劣化・量不足・汚れ)← 最多
  2. 油圧不足・内部リーク(ポンプ、シール、バルブボディ、ライン圧低下)
  3. クラッチ摩耗・焼け — TH350では特にインターミディエートクラッチの焼けが、3速域の滑りの中心としてよく出ます
  4. バンド/バルブボディ系(切り分けが進んでから)
⚠ ここを誤解しないクラッチが減っていなくても、フルードや油圧で滑ります。だから、いきなり「OH(分解整備)」と決めつけないこと。

自分でできる切り分け

実戦チェック(早い順)

  1. ATFの色と臭い — 焦げ臭い・黒いなら、クラッチ焼けの線が濃い
  2. 油量とフィルター — 低油量・詰まりは吸い込み不良=発進やシフトで空ぶかし感
  3. 試走で「いつ滑るか」を分ける — 発進だけ? 2→3速だけ? 全段?
  4. 真空モジュレーターとホースの状態
  5. 圧が怪しければライン圧測定 — 圧が低いのに滑るなら、クラッチより油圧側を先に疑う
[ 写真:パン内のクラッチ粉・金属粉/焦げたATFの色見本 — 準備中 ]

症状別 切り分け表

症状まず疑う順典型的な見え方
発進時だけ滑る1速クラッチ系→油圧不足→フルード/フィルター→バンド発進だけ回転先行、少し走るとつながることも
2→3速だけ滑る3速クラッチ系→油圧→バルブボディ→ガバナー1-2は普通、3速に入った瞬間だけ回転上昇
暖まると滑るフルード粘度低下→内部リーク→摩耗クラッチ冷間は普通、温まると悪化
冷間時だけ滑るストレーナー詰まり→油圧立ち上がり→フルード朝イチだけ、暖まると改善
3速で抜ける/不安定3速クラッチ→バルブボディ→真空モジュレーター2速までは普通でも3速が不安定
全段でじわっと滑るATF劣化→油圧→ポンプ→広範囲摩耗全体に加速が鈍く、焦げ臭さが出やすい

症状別のひとこと解説

原因別の対処と必要な部品

※どのキットを選ぶか・米国と国内の価格差は TH350完全ガイド のOHキットの章で解説しています。

直す? OH? 載せ替え?

放置するとどうなるか

滑りを放置すると、摩擦熱でクラッチがさらに焼け、ATFが劣化し、ポンプやコンバーターまで巻き込みます。軽症で済んだはずが、フルOHや載せ替えに化ける。 早めの点検が、結局いちばん安い。


まとめ